お知らせ・コラム

蛍狩り

小満(鈍陽気満ちて万物充満し草木枝葉繁る大満と云わず小満と云えるは万物充満する初め故なり、と書かれています)も過ぎ、あと1週間もすると、芒種(ノギある穀類皆稼種する時節なり)です。漸く近くの田圃にも苗が植わりました、まだ植えたてで風にそよそよと優しく揺れています。もう少し経てば力強く風に立ち向かっていく苗が見られる事でしょう。

籾殻の先に有るとげの様な突起、稲の種子(お米)の先端にシュッシュっと出ているのが芒(のぎ)です。福建省の建窯で作られた天目茶碗、釉薬が柔らかい?ので焼成している間に釉薬が下に落っこちてしまいます(なので上の口の辺りの釉薬が薄くなったり、剥がれた様になったりしています、上向きで焼かれていますよ!)。それが細い線状になっていて、その線が穀物のノギの様なので日本では禾目天目(のぎめてんもく)と呼ばれています。中国ではその線がウサギの毛の様だというので、兎毫戔(とごうさん)と呼ばれています。呼び方が日本と中国で違うだけで、禾目天目も兎毫戔も同じ物です。

芒の説明が長くなってしまいました💦

芒種の頃に有る七十二侯「腐草為蛍(くされたるくさ、ほたるとなる)、には少し早いのですが、昨日孫達に誘われて車で30分程の公園に蛍狩りに行ってきました。幻想的な光にうっとりとしてしまいました。一日中カンカンに晴れた日でしたので蛍が少ないんじゃないかしら?と思って行ったのですが、想像以上に飛んでいて綺麗でした。蛍達は「婚活で忙しいのに、人間は邪魔だなぁ!」と思っているかもしれませんね(笑)

行きの車の中で、蛍のサナギはどんな所にいるのかしらねぇ?という質問に、5年生の時に実際に学校のビオトープ?で蛍を育てていた孫は「サナギだから、土の中でしょう!」そんな質問有り?みたいな顔をして答えてくれました(笑)

蛍の異名の「腐草(くちくさ)」は、土の中のサナギが成虫になって、朽ち草の間から出てくるのでそういう名前がついたようですし、七十二侯の「腐草為蛍」もそういうところから出てきたのですね。

羽化した成虫は3、4日土の中の土繭の中で過ごし少しづつ土を押し広げながら地上に這い出してくるので土が固くなると出てこられない!という事で雨の後がベストなんですね。昔の人はそういうジメッとした所から出てくるので、蛍は腐草から生まれると思っていたんだとか‥‥

清少納言の枕草子「夏は夜 月の頃はさらなり やみもなほ 蛍の多く飛びちがひたる また ただ一つ二つなど ほのかにうち光りて行くもをかし 雨など降るもをかし」を思い出しながら、真っ暗な公園を歩きました。本当に、沢山の蛍が光を点滅させながら飛んでいるのも見応えが有りますが、一つ二つ、す〜っと手が届きそうな距離で目の前を光りながら飛んでくれるのも愛おしいなぁ!と思えました。

おじいちゃまがすぐに迷子になるから!おばあちゃまが階段で転ぶと困るから!と心配してずっと手を繋いで歩いてくれた孫達の成長ぶりも頼もしく思いながらの蛍狩りでした。

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