お知らせ・コラム

秋の花

秋は紅葉も見事ですが、お花もたくさん咲いてくれます。
家の小さな茶花畑に、白やピンクの芙蓉、秋明菊も、秋海棠、萩、水引、すすき、浜菊、磯菊、ほととぎす、河原撫子、檜扇の実(ぬばたま)花盛りです。
秋の七草と言われる、女郎花、すすき、桔梗、撫子、藤袴、葛、萩、どれもよく見るお花です。
河原撫子は春から秋まで咲いていて重宝ですね。
撫子は頭を撫でたくなるほど可愛い子、古名の常夏は大人の女性のイメージ、床なつかしいからきているとか。 
源氏物語、「常夏」の帖には撫子も常夏も出てきます。源氏の「撫子(玉鬘)のとこなつかしき(玉鬘の母、夕顔をかけて)色を見ばもとの垣根を人やたづねん」に、玉鬘は「山がつの垣ほに生ひし なでしこのもとの根ざしをたれかたづねん」と返します。
夕顔の可愛い子(玉鬘)の美しい姿を見たら、本当の父の頭の中将は夕顔の事をたづねるでしょうね。いやいや、誰が卑しい身分の母など探すでしょうか。
頭の中将は「箒木」の帖で、夕顔の事を話しています。夕顔は撫子の花と共に「山がつの垣は荒るともをりをりにあわれはかけよ撫子の露」と頭の中将に送っています。私の事は良いけれど撫子(幼子、玉鬘)には時々あわれの露をかけてくださいね。って事でしょうか。夕顔らしい……
玉鬘の乳母が、玉鬘の両親を探す為に長谷寺の観音様にすがるのですが、ご利益で右近(夕顔に仕えていた)に出会う、その後に右近と玉鬘が詠み交わした歌に出てくる「二本の杉(ふたもとのすぎ)」「初瀬川」は幼馴染と行った長谷寺を思い出します。
万葉集を編纂した大伴家持(おおとものやかもち)は奥様(大伴坂上大嬢、おおとものさかのうえのおおいらつめ)を撫子に例えて歌を歌っています。奥様だけでもなさそうですけれど……
一つ一つのお花を、いろんなお話を想いながら見るのも楽しいですね。

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