お知らせ・コラム

玉川

今お庭は花盛りです。
苧環(おだまき、糸を巻いて玉状環状にした苧環からの名前とか)、小手毬、都忘れ、紫蘭、白の紫蘭、昼咲月見草、姫甘草、空木、鉄線(クレマチスではない鉄線です)、受咲大山蓮華、黒蝋梅、黒百合、武蔵鐙、浦島草、アザミ、三寸菖蒲、もう終わりそうですが華鬘草等々きれいですよ。
朝ドラも牧野富太郎先生の物語でお花が沢山出てきますね。うちにも牧野富太郎先生の厚〜い図鑑があります。本当に小さな所まで描かれていて、同じ様な植物の違いがよく分かります。
先日の茶事では銘「玉川」の茶杓を使いました。お菓子は山吹の金団
井出の玉川、元々は井出の左大臣と云われた橘諸兄(たちばなのもろえ、藤原不比等の時代の小説を読んでいるとよく出てきてそういう女性がいたのねぇ!と感心していた橘三千代の息子さんらしい)がこの地に別荘を構え、山吹の花を植えたのが始まりと伝わっていて、万葉集、古今集にも歌が有るほど昔から山吹で有名な川です。井出は山吹の歌枕になっています。井出の郷に関する和歌はなんと350首も有って、井出の玉川堤には歌碑郡が有り
駒とめてなほ水かはむ山吹の花の露そういでの玉川
音に聞く井出の山吹みつれども蛙の声はかわらざりけり
などの碑がある様です。井出町のホームページを見ると山吹の花が見頃を迎えているとか!綺麗でしょうね。
六玉川(むたまがわ)といって、歌枕に使われる玉川が六つ有るんですね。井出の玉川の他に
野路の玉川 「明日もこむ 野路の玉川萩こえて いろなる波に月やどりけり」
野田の玉川 「夕されば 潮風越して みちのくの 野田の玉川千鳥鳴くなり」
調布の玉川 「多摩川に 曝す手作り さらさらに 何そこの児の ここだ愛しき」
三島の玉川 「見渡せば 波のしがらみ かけてけり 卯の花咲ける 玉川の里」
高野の玉川 「わすれられても 汲みやしつらん 旅人の 高野のおくの 玉川の水」
調布は租庸調の調を布で収めていた事から付いた名前で、江戸時代までは多摩川で布を晒していたそうです。
そんな事を考えていたら「玉川」の銘の茶杓はいろんな季節に使えそうですね。その都度お客様に六つのうちの何処の玉川だろう?と考えていただく楽しみもあります。

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