立冬なのに今日も暑いです。
北海道の友人から、90センチ超の丸々と太った鰤を送っていただきました。
長い発泡スチロールにも尻尾を折らないと入らない大きさ!見た瞬間「これを捌くのは素人の範疇を超えているんじゃないかしら?」「どうする?お魚屋さんに持って行って捌いてもらう?」と咄嗟に考えましたが。。。。「今日は美味しい鰤が食べられるね」とお箸を持って待っている主人を見ると、やるしかないか!と覚悟を決め、マグロの解体ショーならぬブリの解体ショーを始めました(笑)幸い、今年の京都旅行の折に、有次さんで素人が扱えるけれどちょっと良い出刃包丁を買って来たので助かりました。でも、流石の出刃でも頭を外す事はできませんでしたので、頭のお肉が有る部分を解体しました。お刺身、薄く削いで鰤しゃぶ用、塩焼き用、幽庵漬け、アラは煮て、娘達の元へも存分に分けて堪能しました。頑張った甲斐がありました。千葉さん、いつも美味しいお魚を有難うございます。
先日の茶事では、八寸にあん肝を使いたい!と思いお魚屋さんにあん肝をお願いしました。あん肝、下処理が大変なんです、血管を丁寧に取り除き(なかなか取れなくてこれが大変)薄皮を剥き、酒、塩を入れた水に30分〜1時間漬けてようやくあん肝棒の形に整形します。私はアルミホイルにあん肝を置きぐるぐると巻いて形作り、竹串でプスプスと穴を開けて30分程蒸します。アルミホイルに巻いていると藁灰を作っているようです。美味しいんですけれど、手間が掛かるので懐石の時のみで普段のおかずには出てきません(笑)
今年の口切の茶事では、
向付 鯛の昆布締め 菊の花を添えて
汁 南瓜 小豆を乗せて
煮物椀 銀杏真薯 壬生菜 しめじ 柚子
焼物 秋カマス 幽庵
預鉢 名残り鱧の飛竜頭 万願寺唐辛子 カブ
強肴 柿 百合根 海老 菊菜 胡麻酢和え
小吸 ムカゴ(庭にゴロゴロと出てくるのでそれを主人が見つけて取ってきます。そのムカゴを使って)
八寸 あん肝 蓮根酢漬け
香の物 沢庵 大根 胡瓜(普段家で漬けている糠床で)
菓子 蕎麦善哉 塩昆布 干柿(開炉には干柿を添えます)
お客様にこれは何でしょう?と聞かれて亭主が説明します、きちんと説明ができるように台所には献立表を貼っています。フランス料理等洋食を頂戴する時に、まづこれはこういう物です!と説明がありますが、懐石の時にはお客様に聞かれたら(お客様は必ず亭主に聞いてくださいね、待っています)答えてね!と言っています。お客様がお椀の蓋を開けて、香りを楽しんだり、蓋の無いものも有るものも、口に運んでこれは何だろう!と香りを楽しみ味わっていただきたいのです。ああでも無い、こうでも無い、とお客様同士で会話する事も楽しみの一つ、亭主に聞いてやっぱりね!とか、え〜!そういう物だったの?等の亭主との会話もご馳走の一つだと思うのです。
蕎麦がきは、普段は蕎麦粉に熱湯を入れてガーっとかき混ぜて使いますが、こういう時には丁寧にお鍋に蕎麦粉と水を入れ、火にかけて練っていきます。やはり滑らかになりますね。餡子は沢山練って、急にお善哉が食べたい!という孫達の分も。。。真空して冷凍しておきます。
今の時期の鱧は、名残り鱧と言って脂が乗っています。美味しいですよ。
季節は変ですが、秋、初冬の食材を使った懐石をいただくとやっぱり開炉、口切の季節だなぁ!と思います。
もう一つ、初っ端の講座の皆様が私から叱られた事、講座でなければ見過ごすのですが、本当に茶事にお招きされた時に恥をかかない為に駄目なことはお伝えします(笑)丁度良いバスが無くて随分早くおつきになり、まだ玄関や道路に水も打ち終えてなく、玄関の手掛かりも開いていないのに入っていらっしゃったお客様、寄付きで音がするので、おかしいなぁ?と様子を見に行った私と鉢合わせをしてしまいました。「え〜!入ってらっしゃったんですか?まだ手掛かりが開いてなかったでしょ!手掛かりが開いていないと入っちゃいけませんよ」「時間の丁度良いバスが無くて」「それでも水が打ち終えてなくて、手掛かりが開いていないのに入ってはいけません」の言葉に、皆様そそくさと出ていかれ、近くの神社でブラブラなさって改めて入っていらっしゃいました。こういうやってはいけない事も覚えておかなければいけませんね、お客様が少し早くお着きになっても良いように、亭主側は30分前には水も撒き、手掛かりも開け、待合の煙草盆も準備してくださいね!と言っています。時間ギリギリなのに手掛かりも開いていない!ではお客様もお困りになりますから。。。そういえば、学園時代に時間なのに手掛かりが開いていなくて「御開門〜御開門〜」と仰ったお客様がいらっしゃいました(笑)これは亭主側の失敗です、お客様にそういう事をさせなくても良いように亭主側は気をつけましょう。