卯の花の匂う垣根に、時鳥早も来鳴きて、忍音もらす夏は来ぬ
さみだれのそそぐ山田に、早乙女が裳裾ぬらして、玉苗植うる夏は来ぬ
橘の薫る軒端の、窓近く蛍飛びかい、おこたり諌むる夏は来ぬ
棟ちる川辺の宿の、門遠く水鶏声して、夕月すずしき夏は来ぬ
五月やみ蛍飛びかい、水鶏鳴き卯の花咲きて、早苗植えわたす夏は来ぬ
前置きが長くなりましたが「夏は来ぬ」の歌詞です、先日のお茶会で水鶏笛の花入を使いました。(水鶏笛は水鶏を誘い出す為の笛だそうです、水鶏笛の音色を聴いたことがないので聴いてみたいな!と又好奇心の虫が騒ぎ始めました)いらして頂いたお客様が夏は来ぬの中に水鶏鳴きって歌詞が有りますよね?どんな歌詞だったかしら?ちゃんと思い出さないなあ〜〜!と仰ってそういえば出てくるなあと調べてみた次第です。卯の花、ホトトギス、忍音、さみだれ、早乙女、玉苗、橘、蛍、水鶏、何とも今の時期を的確に表現されているのには感服してしまいます。歌詞の中には仰げば尊しにも使われている蛍雪の功の故事も取り入れられて明治後半の方々の教養の深さに脱帽です。先日書いた箱根八里もそうですが中国の故事を取り入れた歌詞は難しくて若い頃は何の事じゃい!!と思っていましたが難しいからと逃げ回っていてはいけないな!と感じる今日この頃です。