お知らせ・コラム

曳舟

大雪の影響で停電が起こったり、交通が止まったりしております。皆様大丈夫でいらっしゃいますか?お見舞い申し上げます。オール電化のお家も多くなって、暖房も電気がないとつかないとなると命にも関わってきます。北海道の友人は炉に炭を入れて暖を取ろう!と言っていました。どうぞ用心なさってください。

押し詰まってまいりました。
仕事が昨日で終わり、主人は新年に向けて準備をしております。私は年賀状を印刷したり、お正月に向けて買い物リストを作ったりしております。
12月22日、午前6時48分に冬至を迎え、陰が極まり陽が始まる、一陽来復を迎えました。現代人も闇が怖い事には変わりがないですが、昔の人々は今にも増して闇が長い事を恐れたのでしょう。ようやくこれから闇が短くなる!陽に転じた!と喜んだのですね。
曳舟の水指を出してきました。曳舟は冬に使うのですか?という質問があって、主人が「そういえば曳舟の水指が有ったなぁ」と出してきました。笠を被った人の形でちょっとひょうきんな形です。冬しか使えない!というものでも無さそうですが、冬に川の水が少なくなって、舟を陸地から引っ張って進む事もあるそうな。そんなところから冬に使うんですか?という質問になったのでしょうか?他の時期にも使えそうですよね。
江戸時代後期の禅僧、大綱さんの
「引く人も 引かるる人も 水のあわの うき世なりけり 淀の川舟」という歌があるようで、淀川を陸から人が綱を引いてさかのぼっている様子を歌った歌で、水の泡の様に、舟を引く人も舟に乗っている人も、この世にほんのしばし漂っているんだなぁ!というような意味のようです。
曳舟は表千家さんと関係が深いようで、曳舟の絵の御茶碗や、如心斎が12月事始めの日に舟で淀川を通り紀州徳川家からの帰り道、男山八幡宮(石清水八幡宮)の近くを通りかかり、「朧月十三日暁方 男山を拝して 居ながらに厄をはらうや事始」と賛を書き、仙鶴が舟を引く人、山、鳥居、社の絵を描いた軸も見られます。この事を知っていれば事始に曳舟の水指を使うのも面白いかもしれませんね。
 
お弟子さんが「東京の実家近くに、曳舟という所が有りますよ」と、元荒川から本所上水が引かれ、そこを「曳舟川」と言われるようになり、その川筋で人が舟を引っ張っていたようですよ!と仰っていました。

曳舟、引っ張る人は重労働だったでしょうね。そう思って水指を見ると、笠を被って腰を落として頑張って舟を引いている姿に、私も頑張らなくっちゃ!と励まされるようです。

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