お知らせ・コラム

国宝展

昨日の夕方、東京国立博物館の「国宝展」に行ってまいりました。
所謂茶道具という物は多くはなかったのですが、心にも、目にも、充実した時間を過ごさせていただきました。
東京国立博物館のお知り合いが中を案内してくださって、知らなかった東京国立博物館150年の歩みも丁寧に説明してくださいました。
初代館長は薩摩藩英国留学生を率いて英国に留学した前田久成、大英博物館等を見て博物館の重要性を感じてこられたようで、明治5年に湯島聖堂大成殿で最初の展覧会を催して、名古屋城の金の鯱鉾も展覧し、これが東京国立博物館の創立、開館の時だそうです。
今の上野公園辺りは戊辰戦争の時に寛永寺に立て篭もった旧幕府軍彰義隊を新政府軍が包囲殲滅(せんめつ、上野戦争)した場所で、砲弾が飛び交った所です、木に埋もれた砲弾が偶然見つかり、それも展示してありました。その様に人の命がたくさん失われた土地には、文化的な芸術的な公園として人を和ませることにより、その人々を慰霊できる!とのボードウィンの言葉で公園になり、博物館もその場所に移転してきたのだとか。関東大震災も乗り越えて150年歩み続けた歴史をお話しいただきました。
日本の芸術、美術を残していかなければ!という執念にも似た情熱で博物館を維持してこられた方々の熱意、これからまた150年これを引き継いでいく!という決意をひしひしと感じた展覧会でした。
案内頂いた東京国立博物館の中束様からのメールに、「多くの人々の想いと絶え間ない努力によって護り伝えられた文化の輝きを、しっかりと次の世代へ引き継げるようやらねばならないことがたくさんあると思っております。」とありました。娘達よりもお若い中束様の言葉は、これからの日本の文化にとってなんとも頼もしいお言葉で嬉しい限りでした。これからの日本もこういう若い方がいらっしゃる限り大丈夫ですね。
展示の全てが素晴らしかったのですが、私も時々コラムに書いている白居易の「白氏文集」の巻物、子供の頃から「雪舟さん」と親しんだ雪舟等楊の図、先日茶会に軸を掛けた池大雅の屏風、流れ圜悟、板渡しの墨蹟、破れ虚堂、法隆寺の宝物の中の琴(先日から気になって琴のことを少し調べていて、よく見てきました)、馬具(これもちょっと鐙の一部に興味があってよく見てきました)、物語等に出てくるけれど本物は見たことが無かった鳳輦(ほうれん)、お釈迦様のお母様麻耶夫人の像(お釈迦様が麻耶夫人の右腋からお生まれになっている様子)、ようやく修復された金剛力士像、飾太刀(飾太刀は綺麗で見られるのですが、祖母が私の小さな頃から「戦時中に没収された刀が夢に出てきて帰りたい!って泣くのよね」と話していたので飾太刀以外の太刀はちょっと怖いのでよく見られません)、数々の宝物にお会いして、心豊かに帰ってまいりました。
中束様、有難うございました。

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