三日間の初釜を無事に終える事ができました。
お出かけくださいました皆様、有難うございました。
お天気にも恵まれ、富士山も優美な姿を見せてくれて初釜日和でした。
寄り付きには今年徳禅寺の和尚様より頂戴した、干天慈雨(かんてんじう、日照りが続き待ち望んでいた雨が降る)待ち望んでいた事が叶う、困った時に助けに恵まれる例えとか。。。鬼滅の刃の水の呼吸の型として出てくるようですよ(漫画も勉強になります、こんな事を書くと和尚様に叱られるかも知れません)
濃茶席の床には結び柳
軸、天祐和尚(天祐紹杲、てんゆうしょうこう、江戸初期の禅僧、沢庵和尚と親しかったと言う事です)
雲無心出岫(くもむしんにしてしゅうをいず)陶淵明の帰去来の辞より
谷あいから雲が湧き出し無心に流れて行くと言う事だそうです。
花、寒牡丹
花入、藤村庸軒 端ノ坊写
香合、龍泉窯酒会壺(しゅかいこ)明初 蓋は川瀬忍先生が二十代にお造りになった物を合わせて
寒牡丹は硬い蕾で、本当はもう少しふわっとした蕾になるといいと思ったのですが、1日にあった地震の事を考えると、華やかな蕾ではなくて硬い蕾で哀悼の意や被災されてまだまだご不自由をなさっている方々の事を考えられた事は自然の蕾とはいえ蕾に、浮かれて今の状態を忘れてはいけませんよ!と言われているようで身が引き締まりました。
龍の画の染付水指、円能斎が須磨の松を描かれた茶入、大西浄久(遠州の釜師)の二匹馬に手綱の鐶付の釜、法隆寺古材杉の炉縁、五代時代の黄堡窯の茶碗、了入黒楽
少し重々しい席中になりました。
薄茶席の書院には毎年の蓬莱山飾り
床の間には
大心義統(だいしんぎとう、江戸中期の禅僧)寿老人画賛
維南極老人(これなんきょくろうじん)
乃福禄寿星(すなわちふくろくじゅせい)
天上◯霊跡(てんじょうにれいせきを◯はもとめてかなぁ?)
人間示異形(じんかんいぎょうをしめす)
南極老人星、福禄寿星は南極星(カノープス)のことで、この星を見られると平安や天下泰平、幸福、長寿を司ると言われています。
花、絞りの西王母椿
花入、交趾緑釉龍文水注(明末〜清初)
香合、福槌 九代長左衛門 (大樋さんも被害を受けられたと。。悲しいです)
風炉先にはもう四十年以上前に徳禅寺の和尚様が拙宅にお泊まりになられた時に、事前に床の間には硯と筆を置いておいて(書いていただく気満々(笑))御染筆いただいた「風」「花」「雪」「月」の懐紙を貼って作りました。
釜は西村道爺(にしむらどうや、てて道爺とも、江戸中期)鶴首 亀環付、駒澤春斎造の真塗炉縁、大雄山最乗寺杉の長板、川瀬忍先生の青磁水指、象彦造楽器蒔絵平棗、南宋時代景徳鎮で造られた影青(いんちん、青白磁)の茶碗等で少し華やかなお席になりました。
まだまだ地震の被害も全容は分からず、復興と言う言葉を使う事さえ憚れるのですが、これから少しづつ復興していただけたら!と、季節的には少し早いとは思ったのですが、雪柳の芽吹きの着物を着ました。こんなことしか出来ない事は情けないですが、気持ちだけでも持って過ごしていきたいと思っています。